2025年の潮流と展望(振り返り編)
潮流はどのように動いたか、そして予測は当たったか
こんにちは、I&COです。このニュースレターでは、日本の社会・企業・人のより良い未来への展望を拓くヒントとなるようなコラムや、I&COの最新情報を隔週でお届けしています。
今回のコラムは、ニューヨークに拠点を置くレイ・イナモトが執筆した「2025年の潮流と展望(振り返り編)」です。今年のはじめにレイが予測した業界の潮流は、実際にどう動いたのか――その答えを振り返ります。ぜひご一読ください。
このコラムは、レイ・イナモトの「Patterns & Predictions: A Look Back」をベースに翻訳・編集したものです。

毎年この時期になると、あちこちで来年のトレンド予測が語られ始める。
AIバブルが2026年に弾けるなどと軽々しく言うつもりもないし、金融アナリストのふりをするつもりもないが、私自身も、2026年に向けていくつか考えを巡らせているところだ。
2026年の予測を固める前に、まずは2025年のはじめに自分が立てた予測を振り返ってみたい。以下は、ブランド、ビジネス、文化の交差点において、2025年を予測した私の考察である:
マーケティングの終焉: Nikeはいまだ完全復活せず。
“アンクール”の逆襲:ユニクロがH&Mを追い抜く。
中年層の大転換:LinkedInとSubstackが最高の一年を迎える。
ビジネスの「90-10ルール」:ソーシャル動画の制作は強いプレッシャーにさらされる。
次なるインターフェース、音声:音声が次のUIに。Ray-Ban / Metaのグラスは数百万台を売り、Apple Visionが発表される。
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これらの予測を、次の4つに分けて採点していきたい:
✅ = 正解 / ほぼ正解
🔶 = 一概には言えない
❌ = 不正解
💟 = 簡単すぎた
1. マーケティングの終焉
Nikeはいまだ完全復活せず。
✅ = 正解 / ほぼ正解
私の主張は、厳密にはナイキそのものに関するものではない。焦点は、マーケティングや広告の影響力がもはや過去と同じではなくなっているという点にある。
一例として、私は「ナイキはマーケティング投資を大幅に増やす」と予測した。実際、その通りになった。
20年以上ぶりにスーパーボウルへ復帰し、広告・プロモーション費は前年から9%増の47億ドルとなった。2025年5月期の最終四半期においては、その伸びは15%に達している。それにもかかわらず、ナイキは売上・利益ともに減少し、株価は過去1年で21.5%下落している。2024年12月20日時点で76.94ドルだった株価は、2025年11月24日現在62.52ドルである。
こうした状況が示すのは、もはや「ブランドが商品を売る」のではなく、「商品がブランドを築く」時代になったということだ。
CEOエリオット・ヒルもこの構造変化を理解しているようで、ナイキには改善の兆しが見られる。「パンダ ダンク」のようなマスファッション路線ではなく、アスリートやパフォーマンスへと焦点を戻しつつある点は、私が知っていたナイキらしさを感じさせる。Fast Companyのマーク・ウィルソンも、今後登場するプロダクト・イノベーションを取り上げた記事の中で、「ありがたいことに、ナイキが再びナイキらしくなってきた」と述べている。
2026年の夏は、ナイキにとってまさに重要な時となるだろう。なぜか。ワールドカップがアメリカで開催されるからである。これ以上ない追い風と言える。
2. “アンクール”の逆襲
ユニクロがH&Mを追い抜く。
🔶 = 一概には言えない
トレンドの移り変わりはかつてないほど速い。物事は一気に注目され、またすぐに忘れ去られる。”クール”を追いかけ続けること自体が、もはや無意味である。
ユニクロは、その”アンクール”さによってクールであろうとしている。ZARA、H&M、Sheinといったブランドとは一線を画し、自らをファストファッションではないと位置づけているのである。
私が「追い抜く」と言ったのは、売上高を指してのことだ。直近のデータによれば、ユニクロの売上高は208億ドルで、H&Mの216億ドルをわずかに下回っている。しかし、2025年に入ってからの売上成長率と収益性では、ユニクロはすでにH&Mを上回っている。
2025年通期の決算が出そろう頃、この予測は現実のものとなっているだろう。
3. 中年層の大転換
LinkedInとSubstackが最高の一年を迎える。
💟 = 簡単すぎた
いずれも近年、力強い成長を続けている企業だ。「予測」と呼ぶにはやや簡単すぎたかもしれない。
4. ビジネスの「90-10ルール」
ソーシャル動画の制作は強いプレッシャーにさらされる。
✅ = 正解 / ほぼ正解
OpenAI は 2025 年の秋に Sora アプリを公開した。公開からわずか 5 日足らずで 100 万ダウンロードを突破し、ChatGPT の初期成長率を上回った。これは、テクノロジー史上もっとも速い普及ペースである。
短時間で説得力あるビジュアルコンテンツを生成できることをはじめ、その多様な機能をめぐって一般の人々の関心やSNSでの熱狂が広がり、2025 年におけるコンテンツ生成プラットフォームとしての地位を確固たるものにした。
10年前、ビューティー・コスメ業界で活躍するフォトグラファーの友人は、「クライアントから、以前の10倍の撮影点数を同じ予算で求められるようになった」とこぼしていた。いま、同じ現象が動画制作にも起きつつあるのである。
5. 次なるインターフェース:音声
音声が次のUIに。Ray-Ban / Metaのグラスは数百万台を売り、Apple Visionが発表される。
🔶 = 一概には言えない
予測できたこと:
✅ :2025年第2四半期、Meta の Ray-Ban スマートグラスの売上は 3 倍に増加し、勢いを示した。年間では500万台に達するとの予測もある。
予測できなかったこと:
❌ 音声が主要な操作インターフェースになるという見立ては、ほかの操作手段の進化とともに推移する形となった。2025 年時点で音声検索を利用する人は世界全体で約 20.5%。2024 年初頭の 20.3%からは増えているものの、成長は当初想定していたより緩やかである。
❌ Apple は、スマートグラスや廉価版 Vision Pro にあたる「Apple Vision」を発表しなかった。代わりに、2025年10月に Vision Pro 2 を発表した。そのレビューは、ぬるい評価から厳しいものまで幅広く見られる。
次回は、2026年版の「潮流と展望」を公開する。




