次世代ATMで社会インフラの未来を拓く
ローソン銀行が実現する、誰もが使いやすい金融サービス
こんにちは、I&COです。このニュースレターでは、日本の社会・企業・人のより良い未来への展望を開くヒントとなるようなコラムや、I&COの最新情報を隔週でお届けしています。今回は、お客さまと金融サービスの接点として重要な役割を果たすATMの可能性を考え、社会インフラとして再定義したプロジェクトをご紹介します。
すべての人に寄り添う、次世代ATMの誕生
「みんなと暮らすマチを幸せに」をテーマに掲げるローソン銀行。日本全国のローソン店舗を中心に設置されたATMは、今や私たちの生活に欠かせない金融インフラとなっています。従来の現金取引に加え、現金とキャッシュレス決済をつなぐといったニーズに対応することが求められるだけでなく、特にコンビニのようなオープンな場所では、より多くの視点からの配慮が必要です。
こうした背景から、ローソン銀行は全国に展開するATMネットワークの刷新を決定。I&COは、この次世代ATMのコンセプト策定から、外部パートナーとの協業による筐体デザインとUI/UXデザインの設計支援まで携わりました。
すでに5,000台以上が全国に設置されているこの次世代ATMは、単なるデザインや機能の更新ではなく、金融サービスへのアクセシビリティを根本から見直すプロジェクトとなりました。
誰もが便利に使える、新しいATM体験の創出
次世代ATMの創出において意識したのが、次の三つのポイントです。
1. 生活に溶け込み、長く愛されるインフラの実現
今回のプロジェクトでは、ローソン銀行が掲げる「みんなと暮らすマチを幸せに」というテーマのもと、ATMを単なる機械ではなく、生活に溶け込む社会インフラとして再定義しました。全体に柔らかな丸みを持たせた筐体で、シンプルながら温かみのある印象に仕上げています。
コンビニという利用場所を考慮し、筐体には、買い物袋や飲料カップ、杖や傘などを置くためのホルダーを設置。また、従来のコンビニATMは「本体」と「ブース」で構成されていましたが、従来機と同等サイズのブース一体型設計により、リプレイスのしやすさにも配慮しました。保守担当者向けの使いやすい操作画面を設けることで、メンテナンス性を向上させ、長く愛着をもって利用されるATMを目指しています。
さらに、ATMというインターフェースが直面する多様なケースを想定し、フォントやカラーといった汎用性の高いデザインシステムを策定しました。
2.「縦型モニター」への挑戦と、多様性を包含する安心・安全の両立
金融取引という行為には、安心感が不可欠です。画面の位置や角度、シェードの形状を工夫し、後方確認ミラーに加えカてメラ映像を画面に表示することで、背後の状況を簡単に確認できるようにしました。
そうした中で、これまでのATMになかった「一画面の縦型モニター」を採用するにあたっては、使いやすさの検証を重ねました。スマホライクな縦型画面は今や人々にとってなじみの深いものになっていますが、ATMにとっては新たな挑戦です。
タッチパネルに表示されるUIでは、操作部を手元に集約。画面上の操作ガイドも筐体側と連携させることで、あらゆる目的においてスムーズな操作を誘導します。また、操作ボタンでは「キャンセル=赤」という従来の色使いを見直し、ニュートラルなカラーを採用しました。これにより、カラーユニバーサルデザイン認証を取得しながら操作への心理的ハードルも低減し、多様な利用者に配慮したデザインを実現しました。さらに、車いすの利用者が身体をひねらず正面からアクセスできるフロントエントリー形状を採用し、画面の見やすさと操作性を向上させています。
3. 先端技術を、人にやさしく活かす
ICチップやQRコードの読み取りを行うATMが普及する中で、カードやスマホを置く場所を探し、カメラの焦点に合わせるための微妙な位置調整に苦戦したことがある方も多いのではないでしょうか。次世代ATMでは、先端技術と人間中心設計の両立により、これらの課題を解決しました。
具体的には、タブレットサイズまで読み取り可能なマルチスキャントレイの真上に小型カメラを搭載し、ユーザーフローに沿った位置に配置することで、置く場所が直感的にわかる明快なUXを実現。VR/ARによるデジタルプロトタイプを活用したクイックな検証と、実際のユーザーによるリアルモックアップ検証を組み合わせ、先進技術の採用と使いやすさを両立させました。
社会インフラの「体験」をデザインで進化させる
今回のプロジェクトは「キャッシュレスに移行する時代の中で、ATMが担う役割はどのようなものになっていくか?」という問いから出発しました。
ATMは、日々当たり前に目にする存在でありながら、その体験が語られることは多くありません。今回のプロジェクトでは、そこに潜むニーズを丁寧にすくい上げ、日常の継続と新たな挑戦を両立しながら、デザインの力で体験を良いものにしていくことを目指しました。この次世代ATMは現在、全国で5,000台以上が設置され、実際の利用が広がってきています。ローソンの店舗をはじめ、様々な場所に設置されるこの次世代ATMが、「誰もが便利に、簡単に使えて、安心して取引できる、愛着の湧くATM」の体験価値をお客さまに提供し、多くの人々の日常をより便利に、そして安心なものにしていくことを楽しみにしています。






