グローバル展開成功の共通解:事例に学ぶ5つのポイント
日本の強みを世界で認識してもらうための、統合的なアプローチとは
こんにちは、I&COです。このニュースレターでは、日本の社会・企業・人のより良い未来への展望を開くヒントとなるようなコラムや、I&COの最新情報を隔週でお届けしています。
今回は、シンガポールに拠点を置くI&CO APAC代表の高宮範有が執筆したコラム「グローバル展開成功の共通解:事例に学ぶ5つのポイント」です。日本企業特有の細やかさや品質へのこだわりは、グローバル市場で十分な強みとなります。それを価値として認識してもらうための、市場理解、自社分析、長期的視点での戦略はどうあるべきか。ぜひご一読ください。
近年、日本企業のグローバル展開が加速する一方で、その道のりは決して平坦ではありません。日本市場特有の商習慣や消費者ニーズに最適化された製品やサービスが、そのまま海外市場で受け入れられるとは限らないためです。しかし、実際にグローバル展開を成功させている企業やブランドの事例からは、成功のための重要な要素が見えてきます。本稿では、I&COが手がけた事例に沿って、日本企業が海外展開で成功するための5つのポイントをご紹介します。
1. シンプルで力強いメッセージの構築
海外展開において最も重要な要素の一つが、製品やサービスの特徴を、言語の壁を超えて伝えることです。その際に重要になるのが、「ノンバーバル(非言語的)なコミュニケーション」と「ワンメッセージ」という二つの要素です。
例えばユニクロの「Time Tells a Story」キャンペーンでは、製品の品質の高さを、言葉による詳細な説明ではなく、様々な職業の人々が長年愛用している様子を通じて表現しました。製品が時間とともに着用者の人生に寄り添う存在であることを、数字や映像を使って静かに、しかし力強く伝えています。
言語に頼らないビジュアルでの表現は、文化や言語の違いを超えた理解を可能にし、情報の伝達速度も高めます。また、伝えたいポイントを一つに絞ることで、メッセージの印象を強め、理解のしやすさを確保することができます。
2. 既存の文脈を活用した市場参入
プロダクトやサービスの海外展開における効果的な戦略の一つが、その市場で既に確立されている文脈(コンテキスト)を活用することです。琉球泡盛の海外展開は、この点にフォーカスしています。
海外において泡盛は、一般的に「日本のお酒」というカテゴリーで認知されていますが、このプロジェクトでは泡盛を「プレミアムな蒸留酒」にポジショニングしました。これは、日本やジャパニーズウイスキーへの高い評価という既存の文脈を活用しならがも、「日本のお酒」という狭いカテゴリーから脱却し、より広い市場を取り込むための戦略です。熟成年数表示など、既に確立された蒸留酒の商品訴求方法を採用することで、新しい市場での理解を促進することに成功しています。

3. ローカライズにおける適切な「さじ加減」
プロダクトやサービスの海外展開においてローカライズは不可欠ですが、その度合いの見極めが非常に重要です。例えば、パッケージデザインのすべてを英語表記にするのではなく、あえて日本語(漢字やひらがな)を残すことで、ジャパニーズブランドとしての価値を訴求できるケースがあります。
この「さじ加減」を適切に調整するためには、現地での直接的なリサーチが欠かせません。街を歩き、食事や買い物をする時間の中で、オンラインの調査だけでは得られない実際の空気感を把握し、現地の生活者の視点を理解することが重要です。その上で、自社商品の強みと現地ニーズの接点を見出し、どの程度のローカライズが最適かをチューニングしていく必要があります。
4. ブランドの本質に基づく、一貫したアクション
ブランドの核となる価値観を明確にした際、言葉として発信するだけでなくアクションに移すことは、グローバル展開において極めて重要です。味の素冷凍食品の「冷凍餃子フライパンチャレンジ」は、同社の「永久改良」という開発理念に基づいた取り組みとして、グローバルで高い評価を得ました。
商品の改良プロセスを透明性高く公開し、迅速に対応を行ったこのプロジェクトは、単なるマーケティングキャンペーンを超えて、企業の本質的な価値観を体現するものとなりました。このように、企業の理念や価値観を基盤としたアクションは、グローバル市場での信頼関係構築に大きく寄与します。
5. グローバルで共感される表現の追求
グローバルで共感される表現を作り上げる過程では、既存の価値を再発見し、それを新しい形で表現することが求められます。パナソニック コネクトのパーパス策定事例は、この点で重要な示唆を提示しています。
このパーパス策定の過程では、新しい何かを作るのではなく、企業内に既にある本質的な価値を見出し、それをグローバルな視点で再解釈することを重視しました。また、日本語から英語へ単純に翻訳するのではなく、両方の言語で同時に発想し、相互にフィードバックを行いながら、それぞれの言語における自然な表現を追求しました。
まとめ:成功のための統合的なアプローチ
これら5つの視点は、それぞれが独立したものではなく、相乗効果を生みます。シンプルなメッセージングはグローバルコンテキストの理解なしには成立せず、適切なさじ加減はブランドの本質への深い理解があってこそ可能になります。
成功のためには、展開先市場の徹底的な理解、自社の強みの客観的な分析、長期的な視点での戦略立案、そして組織全体でのアクションが必要です。グローバル展開において、日本企業特有の細やかさや品質へのこだわりは強みとなります。しかし、それらをグローバル市場で価値として認識してもらうためには、上記の視点に基づいた戦略的なアプローチが不可欠です。
今回紹介した事例や視点が、これから海外展開を目指す日本企業の皆さまの参考となれば幸いです。
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